今日、学習ボランティアとしておじゃました小学6年生の授業は、卒業文集の制作でした。
6年生の卒業文集の制作も追い込みに入ってきていますが、下書きの用紙がまっ白なままの子どももいます。
下を向いたまま、机の上にふで箱すら出していません。
どうやって書かせていったらいいのでしょうか。
見本は参考にならない
あまりに書けそうもないため、ついに担任の先生は友だちの書いた原稿のコピーを渡して参考にするように言っています。
私もまずはそれにしたがって、声がけをしていきます。
「1年生の頃は何が楽しかったのかな?」
「‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥。じゃあ、2年生の頃は何か思い出ある?」
「‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥。6年生で行った修学旅行はどうだった?」
「‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥。ん~、そうなんだね。‥‥‥。」
会話は全く弾まず、とりつくしまもありません。
クラスにもなかなか溶け込めていない様子です。
学校での思い出と言われても、特別無いのでしょうか‥‥。
結局、1時間かけて1文字も書けず。
あらためて別の日もこの子どもにつき、再度「1年生の頃は‥」をやってみましたが、反応はありません。
好きなことは何?
学年ごとにふりかえることは難しそうです。
学校に特別思い出がない。
であれば、「好きなこと」を書けばいいのでは?
というより、もうそれしかないのでは!
好きなことは何なのかと聞いてみると、ようやく反応がありました。
ゲームだそうです。
何について書くのかさえ決まれば、下書きを一緒に考えてあげることができます。
- 好きなゲームを書きだしてみよう
- どういうゲームなのか説明を書いたらどうか
- どうしてこのゲームが気に入っているのかを書くと想いが伝わるのでは
- キャラクターのイラストを描きたいかどうか
この子どもは、3つのゲームについて書くことを決めました。
そこで、下書きの用紙を大まかに3つに区切り、イラストを入れる位置にも印をつけます。
ゲームについて書くことが決まると、これまでの様子がうそのように書き始めるではありませんか。
ほとんど話さない子どもなのですが、ゲームについて書いたことを読ませてもらうと、その「熱い想い」が伝わってきます。
ポイント
ゲームについて原稿用紙の半分以上がうまってきたところで、驚くようなことがありました。
なんと、修学旅行の思い出についても書き始めたのです。
何がこの子に、見本とされる「定型文」を書かせたのでしょうか。
ポイントは、書き始める「きっかけ」を見つけることができたことです。
子どもへのアドバイス
- 「定型文」のためのヒント
・大きな行事(入学式、運動会、社会科見学、修学旅行など)
(例)
入学式のこと覚えてる?
運動会で一番好きな種目は何?
修学旅行は、だれと部屋が同じだったの?
・最近行われた行事
(例)
焼き芋会はどうだったの?
・好きな教科
(例)
得意な教科は何?
・仲のよい友だち
(例)
休み時間は、だれと遊んでいるの?
・給食
(例)
好きなメニューは何? - 学校行事について書かなくてもいいよ
学校行事について書くのは「定型」でしょうが、書けない子どもは、どんなに言っても書けない?というか書きません。
大人が「定型」を書かせることに固執しないことも必要になってきます。 - 好きなことについて書く
学校生活にさほど思いいれがなくても、何か好きなことはあるはずです。
その好きなことについて書いた文章は、本人の想いがあふれています。 - 「定型文」でない場合は担任の先生の了解をもらう
「定型文」ですら先生のチェックは入りますが、「定型文でない」のであれば、なおさら先生に承知しておいてもらう必要があります。
この子の場合は、何時間かけてもまったく書けなかったので、本人が書き始めたことを先生もとても喜んでくれました。
まとめ
いくら書くことが無いと本人が言いはっても、卒業文集が白紙では、本人や親御さんにとってつらいことになるでしょう。
ただ、大人でも興味のないことについて書けといわれるのは苦しいものです。
好きなことについてであれば書き始めるのがスムーズでしょうし、そうやって書いているうちに、直接学校に関係することも書き始めるかもしれません。