「今日はテストを4枚返します!」
先生の第一声に、小学校1年生の教室中が盛り上がります。
「え~っ4枚も?」「うわぁぁーー」
私は学習ボランティアとしてこの授業に来させていただいているのですが、今日はテストの見返しのようです。
「1枚ずつ返すから、名簿順に取りに来てください。」
子ども達は先生の指示に従って、自分の順番を見計らいテストを受け取りに出ていきます。
小さい子どもさんが自分の順番を守り、神妙にテストを受け取りにいく、そんな様子はかわいくて見ているだけで楽しいものです。
うちのお母さんが言うには
そんな状況の中、教室の後ろで出番を待つ私のところに、女の子がやってきました。
「うちのお母さんね、テストは90点以上取らないとダメだって言うんだよ~。」
・・・・・・・!
う、う~ん、私も、似たような事を自分の子どもに言っていたな・・・。
「まあ、それは大変だね。」と今なら同情もできます。
「でも大丈夫。95点だったから。」
それはよかった。
この上出来のテストを見たら、お母さんもお父さんも、一日の疲れが吹き飛ぶことでしょう。
学力は高いけれど、勉強が楽しくない日本の子供たち
ところでこちらの資料は、子どもたちの算数・数学の得点を国際比較した調査結果です。
国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)のポイント
TIMSS(国際数学・理科教育動向調査):国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
日本の小学校・中学校共に、世界の中でも高い水準にあることがわかります。
ただし、不安にさせるのが次の調査結果です。
国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)のポイント
勉強はできているというのに、勉強が楽しいと答えた子どもは、国際平均以下だというのです。
何だか暗たんたる気持ちになります。
日本の子どもたちが、このまま高校や大学に進み、社会人となった時に。
更にその先の長い人生はどうなってしまうのか心配です。
ただ、その答えの糸口が次の調査結果から見えてきそうです。
自然体験が多い子供ほど自己肯定感が高い
子供の体験活動と意識の関係 文部科学省
こちらの資料からは自然体験が多い子供ほど自己肯定感が高いということが示されています。
更には、自然体験が多いほど道徳観・正義感があり、自然体験や地域での活動体験が豊富な人ほど大人になってからの様々な能力が高い傾向があるという資料もありました。
時間のある方は、文部科学省のHPをのぞいてみてください。
子供さんとの向き合い方
学力は気になりますが、「根っこ」をたくましくすることも忘れないようにね、とでも言われているようです。
仕事でいうところの、「急ぎ対応すべき目の前のこと」と「急がないけれど中長期的な視点で考えていくこと」の2頭立てという感じでしょうか。
育児でいう目の前の代表的なことの1つが、まさに今日返ってきた算数のテスト。
では、中長期的な視点とは?
すばり、「幸せになる力をつけること」ではないかと。
親は子供に、幸せになってもらいたいだけなんですよね。
過ぎ去った育児を思い返して思うだけではなく、成人した我が子に対しても、ただただこう思います。
では、幸せって?
周りから大切にされ、年齢や状況に応じて、本人の力が発揮され、充実した生き生きとした人生を歩んでいってもらえたら。
育児真最中のお母さん、お父さん。
「どうしてうちの子は50点しか取れないのか。」という思いで苦しい時には、ちょっと深呼吸です。
目の前の今日のテストは「50点」でも、中長期的な「幸せ力」はすくすく育っているのかもしれませんよ。
自信をもって2年生になってね
さて、私はあまり点数がよくなかった子どもさんの横について、一緒に見直しをすることになります。
私たちボランティアの役割は、まさしく「目の前」の対応が主となります。
少しでもつまずきを解消し理解してもらえるよう、言葉やニュアンスを変えたり、時には数え棒やブロックを使ってその子どもさんがわかる説明の仕方を探していきます。
安心して自信をもって2年生になれるようにと願いながら。