先日、学校側と学習ボランティアの懇談会がありました。
学習支援の必要な子どもさんに、よりよい支援が届くよう、普段感じていることなどを出し合いました。
話題になったのは、授業や先生の話に集中できない子どもさん、算数の理解がなかなかすすまない子どもさん、暴力をふるう子どもさんについて。
確認したのは、学校側も私達ボランティアも、とにかくその子どもさんのありのままを受け入れていこう、受けとめていこうということでした。
そして、懇談会終了後、ボランティアの先輩から聞いた特別支援学級にうつった子どもさんが、落ち着きはじめ、授業に集中できるようになった話は、ボランティア活動だけではなく、子どもをもつ親として、一人の人間としても大変参考になるものでした。
もう10年以上ボランティア活動をされている方たちは、様々な場面で学校の支援に入っています。
そんなベテランのTさんが、A君のことについて話してくれました。
いやがる子どもを無理やり登校させる
当時1年生だったA君を、お母さんがひきずって学校に連れてきていたそうです。
そのため、Tさんは毎朝8時に教室に入り、朝の会からフォローに入っていたとのこと。
A君は、机をひっくり返し、授業には集中できない、そんな状態だったそうです。
クラスには30人近く子どもさんがいるため、担任の先生1人では、授業どころか、朝の会ですらままならなかったということなのでしょう。
特別支援学級にうつるまでに数年
そして、この特別支援学級にうつるには、学校側の判断だけではなく、親御さんの了解が必要になるとのこと。
学校側からのすすめに対して、親御さんは最初は「NO」と言っていたそうです。
Tさんいわく、「自分の子どもが特別支援学級に行くことを、受け入れられなかったと思うんだよね。」
お母さんにかけた言葉
そんな状況で、Tさんは朝、A君のお母さんと顔を合わせる機会があり、ある日、声をかけたそうです。
「ちょっと、話をしませんか。まずは、お母さんが楽にならないと。お母さんが楽にならないと、A君も楽になれないのではないでしょうか。」
特別支援学級の効果
高学年となったA君は、今ではみちがえるように落ち着き、授業にも集中しているそうです。
特別支援学級では、半分くらいの時間は自分の好きなことができるので、それがA君に合っていたということのようです。
自分の好きなことができる = 自分を認めてもらえた
「ここまでくるのに、A君もとても苦しかったと思う。」とTさん。
特別支援学級のメリットとうつるタイミング
Tさんと話したことが、特別支援学級にうつる直接のきっかけになったのかはわかりません。
また、その時の学校側の対応ももちろん知りません。
けれど、学校側が親御さんに特別支援学級をすすめるにあたっては、当然段階をふんでいると思われます。
つまり、何の話もせず、いきなり「お宅の子どもさんは、特別支援学級がいいと思います。」とは言わないのではないかと。
「学校では、毎日、机をひっくり返しています。おうちでは、どんな様子ですか。」
こんなような投げかけが、学校側からはあったと思われます。
A君の場合、お母さんがA君を見ていて、そして学校とのやりとりを繰り返す中で、「特別支援学級がいいのかもしれない。」と思うまで、数年かかりました。
Tさんいわく、「全部上手にできなくても、1つでも何か上手にできる状況が保障されると、子どもはいきいきしてくる。」
机をひっくり返すことでしか自分を表現できない。
そんなおそろしい苦しみから、A君は解放されたのです。
まとめ
ベテラン学習ボランティアTさんによると
〇子どものことで親が苦しんでいれば、子どもも苦しんでいる。
〇親にはどうしても欲目がある。
〇子どもが自分らしくいられることが、親の欲目よりも優先。
学校に入らせもらうと、担任の先生以外にも、校長先生、教頭先生、特別支援学級の先生など、多くの先生の温かい目が子どもさんにそそがれていることがわかります。