時代は流れ、学校給食の指導のありかたも、自分の頃とはずいぶん違ってきています。
私がボランティアで行っている学校では、多くのクラスで、いったん盛りつけられたおかずを子どもの意思で減らすことができるようにしています。
食べるにあたり個人差が配慮され、子ども本人にとってはもちろん、親御さんにとっても安心できるやり方だなと感心しています。
しかし、学校には若手からベテランまで、全国津々浦々、たくさんの先生がいます。
令和の時代であっても、昭和の時代同様、クラスの子ども全員に均等に盛りつけ、残食を許さない先生もいます。
食べる量を強制されて子どもが給食の時間をいやがり、保護者から苦情を受けてもなんのその、ご自分の教育方針をつらぬく先生も。
給食指導「新旧」のメリットデメリット、子どもが給食の時間をいやがった場合の親御さんの対応方法について考えてみたいと思います。
おかずを減らすことができる
いったん盛りつけられたおかずの量を見て、減らしたい人は自由に減らすことができるというのが、今どきの給食の主流のようです。
減らしたい人は、自分のお皿を配膳台まで持っていき、食缶におかずをもどします。
みはからって先生が、「このくらいはがんばってみよか。」などと声がけすることがあります。
減らした後は、今度は増やしたい人がお皿を持って配膳台に並び、減らされたおかずを自分のお皿に足していきます。
結果として、食缶の中はからっぽになります。
昭和ながらの平等盛り
こちらは、クラス全員のお皿にどのおかずも同量が盛りつけられます。
減らしたい、増やしたいはありません。
同じく結果として、食缶の中はからっぽになります。
メリットデメリット
減らす方式
メリット
- 自分の適量を食べることができる
- 自分の適量がわかるようになる
- 苦手な物を無理強いされない
- 好きなものをおかわりできる
- 楽しく食べることができる
デメリット
- 嫌いなおかずを極端に減らそうとする
- メニューによっては、残食が出ることがある
平等盛り
メリット
- 年齢に応じたカロリーと栄養素を取ることができる
- 残食がでない
デメリット
- 嫌いな物を無理強いされる
- おなかいっぱいでも食べなくてはならない
- もっと食べたくてもおかわりがない(笑)
- 体の大きさ(個人差)に応じた食事ができない
- 食欲(体調)に応じた食事ができない
- 給食の時間がいやになる
給食の時間をいやがったら
学校生活の中で、算数がわからない、お友達とすぐけんかをしてしまうなど心配なことは様々ですが、せめて給食は楽しみな時間になってほしいところです。
嫌いなおかずの無理強いは、一見ものごとの白黒がはっきりしているようで、親御さんとしては、「今時、そんな先生がいるのか?」となってしまいます。
「どういうことですかぁ?」と担任の先生に詰め寄りたいところですが、ここで大切なのは、落ち着いて先生と話し合うことだと思います。
ポイント1 感情的にならない
「うちの子どもはこんなことを言っていますが、給食はどんな様子でしょうか。」と感情的にならずに切り出してみましょう。
ポイント2 困っていることを具体的に伝える
「うちの子どもはきのこがどうしても食べられません。1人分を食べるように言われることは、本人にとってとても苦しいことなのです。」
ポイント3 先生の考えを聞く
「そのあたりを、先生はどのようにお考えでしょうか。」
こんなように伝えて、先生がどのように答えてくれるのか聞いてみましょう。
「この時代に、先生はいったい何を考えているんですか(怒)!」はNGです。
ポイント4
「1人あたりのカロリーや栄養素は決まっている」「好き嫌いはなくしていくべきだ」と言われたら
「年齢に応じたカロリーや栄養素を計算した給食をだしてもらっていることは、ありがたく思っています。」
まずは感謝の気持ちを伝え、先生の言ったことは正論の1つであることを受け入れる姿勢を示します。
それから、こちらの主張をしていきます。
「ただ、個人差があるのもたしかです。」
「うちの子どもには”1人分”はどうしても多いようなので、少し減らしてもらってしばらく様子を見てもらいたいのですが。」
考え方が違うとすれば、落としどころを探っていかなければなりません。
けんか腰では、先生の考えを聞くことも、親御さんの考えを聞いてもらうこともできません。
まとめ
給食には、先生や友だちと一緒に食べるため、驚くような「効果」があります。
先生に「がんばってよく食べたね~。」とほめられて苦手な物が食べられるようになったり。
友だちが「おいしいーー。」と言って食べていると、つられて一緒に食べてみたり(笑)。
「年齢に応じた栄養が必要である」ことも「個人差」があることも、それぞれに一理あります。
子どもが楽しく給食の時間を過ごせるように、親御さんと先生が落ち着いて話し合いをすることが大切です。
それでも、落としどころが見つからない場合は。
同じような状況にある親御さんと情報交換することをおすすめします。
クラスの中で同じように困っている子どもは1人ではありません。
子どもは何と言っているのか、それに対して親はどう対応しているのか。
どうやって現状をしのいでいるのか、などなど。
それでもどうにもならなければ、校長先生に相談でしょうか。
校長先生と話をする時にも、感情的にならないことを忘れないでください。